新しい製鉄法は、環境汚染を減少させるとともに、資源やエネルギーを節約するという視点から広範囲にわたって探究されてきた。

図に示すのは、オーストリアで開発されたコーレックス(Corex)プロセスである。このプロセスは、現在商業化されている唯一の新しい製鉄法で、このプラントは年産能力60万トンで操業中である。このプロセスでは、塊鉱、ペレットおよび焼結鉱を混合したものを、コーレックスプラントの主反応炉である溶融・ガス化炉(melter gasifier)から供給するCOとH2を含むガスによって還元シャフト炉内で約90%まで予備還元し金属化(スポンジアイアン)する。このスポンジアイアンを払い出し機、スクリューコンベアーを経由して、還元シャフト炉から溶融・ガス化炉へ送り、ここで溶解する。直径50ミリメートル以下の、非粘結炭も反応炉へ供給する。反応炉の下部で、酸素を羽口を通して流動床へ吹き込む。反応が進むとスラグと溶銑が反応炉の底に層状に溜まる。

反応炉の上部はフリーボード(円筒状の空間)であり、主に一酸化炭素から成る高温ガスが流動床から反応炉の頂部へ流れる。石炭が高温ガスに触れると、脱水、脱ガスされ、コークス床を形づくる。コークス床の下部では、生成されたコークスは発熱反応でガス化して2,700K(2,427℃)以上の温度になる。

反応炉から出る生のガスの温度は、フリーボードにおいて、約1,400K(1,127℃)である。このガスは、除塵用の高温ガスサイクロンによりコークスダストをガスから分離し、そのガスを還元シャフト炉内の鉄源の還元に使用する。

その他の新しい製鉄法が、日本(DIOS法)、オーストラリア(Hlsmelt法)、アメリカ(Tecnored法)で試みられているが、まだパイロットプラントの段階である。これらのプロセスは主に、溶融状態での還元量が固体状態のそれより大きい溶融還元法を利用しており、高炉法のそれとは異なっている。これらのプロセスは、(a)鉄鉱石を塊状化せずに使用できる、(b)非粘結/弱粘結炭をコークス化せずに直接使用できる、(c)操業の開始、停止が高炉に比べて大変容易である、(d)二酸化炭素の発生量を削減できる−等を目標にしている。しかし、これらのプロセスには、その商業化までには解決すべき多くの問題があり、この解決には、かなりの研究・開発が必要であろう。