鉄鋼の原材料は今後ますます多様化する。鉄源では、今後増加するいろいろな品位のスクラップのリサイクルや直接還元鉄の利用があり、還元剤では、石炭の直接利用や低品位化への対応など、より安価な資源を有効に活用することが求められる。そのうえで、変動する多様な需要に柔軟に対応できるプロセスが望ましい。

鉄鋼材料に要求される品質が高度化するにつれ、製造プロセスにも、より一層の高純度化、より狭い成分範囲への的中率の向上、成分のより一層の均一化が要求され、これらが精錬・凝固プロセスの課題となる。

製造プロセスの目標は、品質の安定した製品を、効率良く経済的に製造することである。このために必要なのは、設備の長寿命化およびプロセスの同期化・連続化・一貫化であり、制御の自動化・高度化である。高度な自動制御を実現したプロセスでは、上流工程から受け入れた半製品に、それまでの外乱を吸収するような処理を加えて常に一定の品質にしたうえで、決められた時期につぎのプロセスへ送り出す。このような各プロセスが連続してプロセス全体を構成し、システム統合されることによって、全プロセスにわたり過不足なく物が流れる。また、途中での不良品の発生が最小で、要求品質を満たす製品が、必要なときに必要な量だけ製造できることになる。この過程で、従来のプロセス構成が簡略化され、さらには省略できれば効果はより大きくなる。このような例としては、これまでには連続鋳造による造塊—分塊圧延工程の省略、連続焼鈍による焼鈍の簡略化などがあり、今後は、一例として、特定鋼種におけるストリップキャスティングによる熱間圧延の省略の実用化が期待されている。また、将来のプロセスは、スラグ、ダストなど廃棄物を最小化あるいは有効利用するような環境保全技術や、中低温排熱の利用、プロセスの低温化などの省エネルギーにも一層配慮したものでなければならない。

このような課題への挑戦はすでに始まっており、その例をつぎに紹介する。