製銑プロセスの大部分は高炉に依存しており、前世紀以来変化していないのに対して、製鋼プロセスは平炉から転炉へと大きく変化し、鋳造分野でも造塊鋳造法が連続鋳造法に変化した。また、リバース圧延やバッチ焼鈍も、タンデムミル圧延や連続焼鈍に置き換わった。製造プロセスは、以前はコスト削減と生産性向上をめざして、このように変化してきたが、今日ではエネルギー、環境および品質の改善をめざして変化してきており、この変化は関連分野の技術進歩によって助長されている。

本章の6Aでは鉄鋼の材料開発、また6Bでは鉄鋼製造プロセスについて、それらの発展の可能性のいくつかを論じている。ここでは、来る20年間に現れることが期待される各プロセス技術の先駆的進歩、すなわち今後新しいプロセスになる可能性のあるいくつかの候補を、表にまとめてある。

これらのプロセス技術開発の性格は、革新的なもの、部分的に改良したもの、現在の技術へ追加したもの、あるいは他産業から技術移転したものに分類してある。どのプロセスも、各技術開発の性格、工業化の推定度合い、工業化実現までの期間という観点から評価してある。

工業化の期間としては、2000年、2010年、および2020年を選んでいる。2020年までにおいても、工業化されないとみられるいくつかの技術もある。しかし、そうした技術も、将来の工業化が望ましいことを考慮して、表からは削除していない。