鉄は、地殻構成元素のうち、酸素、珪素、アルミニウムについで多い元素であり、酸化物の形で天然鉱石として存在し、世界の埋蔵量は約8千億トンである。代表的なものは、鉄含有量の理論値が70%のヘマタイト(赤鉄鉱 Fe2O3)と、72%のマグネタイト(磁鉄鉱 Fe3O4)である。実際の鉱石の鉄分は最大65%程度で、このほかに2〜6%のシリカ(SiO2)と、1〜3%のアルミナ(Al2O3)を含む。代表的な鉄鉱石の産地は中国、ブラジル、オーストラリア、旧ソ連、インド、アメリカ、カナダ、南アフリカなどであり、鉱石中の燐や硫黄の含有量は産地によって非常に差がある。 

高品位の鉄鉱石は粒度調整のために破砕する。この過程で塊鉱石のほかに、粉鉱石が発生する。低品位の鉱石は、選鉱のために粉砕するので、さらに細かい微粉鉱石になる。粉鉱石は焼結(シンタリング)によって焼結鉱に、微粉鉱石はペレタイジングによってペレットに、それぞれ事前処理したのちに高炉に装入する。現在、日本では、高炉に装入される鉄鉱石の比率は、塊鉱石が15%、ペレット10%、焼結鉱が75%ほどであり、事前処理した鉱石が主体である。

焼結では、直径2〜3ミリメートルの粉鉱石に、燃料となる粉コークス、溶剤となる粉石灰石を混ぜ、パレットという鉄製の箱に入れて点火する。そしてコークスの燃焼熱によって粉鉱石を部分的に溶融して結合させ、破砕、選別して直径15〜30ミリメートルの焼結鉱を得る。焼結機はパレットをキャタピラで連結、移動させて、連続的に焼結を行うドワイト・ロイド式が主流である。

ペレタイジングは、200メッシュ以下の微粉鉱石を石灰石、ドロマイトなどの副原料とともに混合し、造粒機で直径10〜15ミリメートルの球状に成形したのち、重油や石炭を燃料として焼き固め、ペレットをつくる工程である。ペレタイジングでは、焼成を必要としないコールドボンドペレットがあり、現在、製鉄所の集塵ダスト処理を主目的とした小規模設備が稼働しているが、省エネルギーや環境保全の点から今後期待される技術である。

ペレットは焼結鉱に比べて、高品位でスラグ成分の含有量が少なく、今後増加する微粉鉱石の処理に適するという利点があるが、一方、製造時に化石燃料をより多く消費すること、高炉装入時ペレット厚みの分布を半径方向に制御するのが難しいこと、などの欠点がある。