金属イオンを含む電解質溶液中で、鋼板をカソードにして通電すると、金属イオンは電子と結合して電荷を失い、金属原子となってカソード面に析出する。この原理を利用するのが電気めっきである。

連続電気めっきラインは、前処理設備、めっき設備、後処理設備から構成される。このうち、前および後処理設備の機能と構造は、溶融めっきラインのそれとほぼ同じである。

電気めっき設備では、消費電力の低減のために、ストリップとアノード間の電極間距離を短くすることが必要である。また、めっきが進むと、めっき液から金属イオンが失われる。これを迅速に補うことが高能率めっきには必須である。さらに、一様なめっき厚を得るには、ストリップ全面に供給されるめっき液の組成が均一でなければならない。したがって、均一で能率的なめっきのために、ストリップ全面にわたってめっき液を高速、均一に供給することが大切であり、めっきセルの構造はこれらの条件を満たさなければならない。このため、図に示すような種々の構造のめっきセルが開発・実用化され、工業的には高能率化のため、多くのセルを直列に配置するのが普通である。

代表的な電気めっきは、亜鉛系のめっきと錫およびクロムめっきである。亜鉛系には純亜鉛めっきと、亜鉛-鉄・亜鉛-ニッケルなどの合金亜鉛めっきがあり、自動車、家電製品および建材などに用いられる。錫めっきはブリキといわれ、最大の用途は、缶詰、飲料缶などの食缶である。この分野では、缶胴部の接合法が、ハンダから接着・溶接に移っている。これにともなって、ハンダに適した錫めっきの有利性は失われ、代わって日本で開発されたティンフリースチールの生産が増加している。ティンフリースチールは、下層が金属クロム、上層がクロム水和酸化物の2層構造を持つ表面処理鋼板である。