高炉の炉頂から、銑鉄1トンあたり、鉄源として焼結鉱、塊鉱石およびペレットなど合計約1,600キログラムと、還元剤としてコークス約380キログラムを交互に層状に装入する。最近では、還元剤の一部を微粉炭の形で炉下部の羽口から、銑鉄1トンあたり90〜120キログラム吹き込むのが普通である。羽口からの重油吹き込みは経済的に引き合わなくなったので、現在ではほとんど行っていない。さらに羽口からは、熱風炉で1,423〜1,523K(1,150〜1,250℃)に加熱し、湿分と酸素濃度を調整した空気を、銑鉄1トンあたり約1,000N立方メートルの割合で吹き込む。

熱風は、炉内でコークスや微粉炭と反応して一酸化炭素と窒素の混合ガスとなり、炉頂から降下する原料と熱交換、反応しながら炉内を上昇し、炉頂から排出し、工場内の燃料として使用するために、回収される。この際、熱風が適正な径方向分布を持ちながら通過しやすいように、炉頂から装入した鉄源とコークスの層厚比と径方向分布を制御する。鉄源は炉内を降下しながら、炉上部の低温域では一酸化炭素ガスによって間接還元される。炉下部では、一酸化炭素による残留鉄鉱石の還元で生成した二酸化炭素が瞬時にコークスにより還元されて一酸化炭素になり再び酸化鉄を還元する。炉下部の高温域では全体の反応は固体炭素による酸化鉄の直接還元と見なすことができる。還元された鉄は同時に溶融、滴下し、溶銑となって炉底部に溜まる。炉底に溜まった溶銑および溶融スラグは一定時間ごとに、炉壁に設けた出銑口と出滓口を穿孔して取り出す。

高炉から排出される物質は、1,803K(1,530℃)の溶銑、銑鉄1トンあたり約300キログラムの溶融スラグ、および炉頂から排出されるダストを含む排ガスである。溶銑はトーピードカーに移し、溶銑予備処理を行ったのち、製鋼工場へ運ぶ。溶融スラグは冷却後破砕して、路盤材やセメント原料として再利用する。排ガスは除塵後、加熱炉の燃料ガスとして用いる。
高炉の能力は1日に生産できる溶銑重量で表わすが、技術的な指標としては、炉内容積 1立方メートルあたりの1日の出銑量である出銑比と、銑鉄1トンあたりに要するコークスおよび補助燃料の消費量である燃料比が代表的である。日本の高炉では、出銑比は1.7〜2.1トン/立方メ−トル・日であり、燃料比は470〜500キログラム/トンである。

高炉の操業にとって大きな課題は、エネルギー原単位の低減、出銑量・成分・温度の安定操業、および炉寿命の延長である。最近の大型高炉では、エネルギー原単位は銑鉄1トンあたり13ギガジュールに下がっている。このうち約60%が鉱石の還元に必要なエネルギーである。

操業を長期にわたって安定させるには、装入物の品質を一定にするために原料を注意深く事前処理することが有効である。操業中に炉の各部における物理・化学的挙動を正確に理解することも必要である。このために、センサーによる炉内状況の測定や、データの処理・判断の人工知能化などが実用化され、大きな成果をあげている。炉内の複雑な状況を把握し、一層の安定操業にこれらのデータを役立てることは今後も必要である。

高炉設備の更新には多額の費用が必要なので、炉寿命を延長すれば生産コストを下げることができる。これまでの操業技術、補修技術の進歩により、高炉の炉寿命は年々延長され、16年を超える(現在の記録)までになっているが、今後炉寿命を20年以上に伸ばすために、一層の技術開発が期待されている。