ゼンジミアミルは、ステンレスなどの硬い材料を冷間圧延するためのクラスターロールを持つ圧延機である。ゼンジミアミルでは、硬い材料に強圧下を与える目的で、小径のワークロールを用いる。このため、平たんな鋼板を得ることが難しい。この対策として、クラスターロールの構造やさまざまな形状制御装置を採用している。図に示したミルの場合、上下の第1中間ロールが片テーパを持ち、シフトできるようになっているほか、上下に6個の分割ロールと2個のAS-Uと呼ばれるロールを備えている。AS-Uロールはそれらの荷重を調節する7個のサドルでそれぞれ支持されている。油圧で駆動するサドルにより、AS-Uロールの軸が変形し、圧延材の軸方向の形状を変えることができる。しかし、このように構造が複雑で、操作要因が多いと、操作要因と圧延材の形状との関係が非線形になり、定量化が難しい。このため、古典制御理論や現代制御理論の適用では十分な効果が得られない。従来は、熟練したオペレーターが出側の板の形状を目視判定し、経験と勘にもとづく方法でミルを操作していた。このプロセスに、新しい制御方式であるニューラルネットワークとファジィロジックの新制御技術を応用して、効果をあげている例についてつぎに説明する。