鋼板の圧延において重要なことは、目標の寸法に圧延する寸法制御と、平たんな形状に圧延する形状制御である。鋼板寸法のうち、板幅と長さについては圧延終了後、余分な部分を切断して目標寸法を得ることができるが、板厚精度と形状精度の確保は、圧延が唯一、最終の手段である。

コイル単重を40トンとすると、板厚3.2ミリメートル、板幅1メートルの熱延コイルは全長1,600メートルとなり、板厚0.8ミリメートル、板幅1メートルの冷延コイルでは全長6,400メートルとなる。現在のタンデム熱間圧延機あるいはタンデム冷間圧延機では、このサイズのコイルも1分から3分程度で圧延される。

現在の水準では、コイルの長手方向および幅方向の板厚変動範囲は、図に示すように、熱延鋼板で±数10マイクロメートル、冷延鋼板で±数マイクロメートル以内に収まっている。

コイル全体にわたって、このような板厚精度を保てるのは、圧延理論を利用した圧延荷重の正確な予測、変形解析にもとづく圧延機の弾性特性曲線の精度の向上に加え、感度や応答性の高いセンサーやアクチュエーターを利用した高度なコンピューター制御技術が実用化されているためである。今後とも精度のより一層の向上に向けて、総合システムとして理論や操業技術、設備の進歩が期待されている。