連続鋳造機の操業で重要な生産性と歩留りは、鋳造を中断せず、多数のヒートを連続的に鋳込むこと(連続連続鋳造、略して連々鋳)によって著しく上昇する。その理由は、鋳込みの準備が不要となること、品質が劣るため切り捨てる鋳造始めと鋳造終わりの鋳片数が減ることにある。連々鋳の手段として、幅や鋼種の異なる鋳片でも連続的に鋳造が可能な鋳込中鋳型幅変更技術、鋳込中異鋼種連々鋳技術が開発・実用化されている。また、操業が中断するのを防ぐために、鋳造が進むにつれて溶損あるいは閉塞する浸漬ノズルを、鋳造を止めずに迅速に自動交換するシステムも開発されている。操業停止に至る非常に重大な問題として、凝固殻が不均一に成長した場合に、薄い部分が破れて、中の溶鋼が漏出するブレークアウトがあり、この予知方法として鋳型銅板内温度監視技術も実用化されている。生産性を上げるには、このような稼働率の改善のほかに、鋳造速度を上げる方法もある。鋳造速度は技術と設備の進歩により、スラブ連鋳機では1.5〜2.5メートル/分となり、生産能力も1ストランドあたり5トン/分、2ストランド連鋳機で360万トン/年ほどになっている。

操業の順序はつぎのとおりである。まず、鋳型内にダミーバーを挿入して鋳型下端を閉ざし、取鍋からタンディッシュ経由で鋳型内に、空気との接触を防ぎつつ溶鋼を注入し、ダミーバーを下方に引くことにより鋳片の引き抜きを始める。鋳型に流入した溶鋼は、鋳型に接触すると急冷され、微細な粒状晶から成る薄い凝固殻を作る。凝固殻は、鋳型内を下降中に柱状樹枝状晶の成長によって厚くなる。鋳型内の溶鋼面上には珪酸塩系のフラックスを添加する。このフラックスは、溶鋼面を覆って放熱を防ぐとともに、浮上してくる非金属介在物を吸収する。フラックスはさらに鋳型/鋳片間に流入し、鋳片の焼き付きを防ぐために振動させている鋳型と鋳片との間の潤滑を行う。それと同時に、フラックス層は鋳片の変形や割れ形成の原因となる鋳片表面温度が急激に低下するのを緩和する。

鋳型内の鋼浴面の位置が上下すると、鋳片に表面欠陥を生じるので、センサーで位置を測定し、タンディッシュからの溶鋼流出量を制御して可能な限り一定に保つ。鋳型内の溶鋼流の電磁ブレーキは、今は溶鋼流動制御の代表的な技術である。未凝固溶鋼を内蔵したまま鋳型を出た鋳片は、ロール群で支持され、スプレーで水冷されながら下方に引き抜かれる。この間、さらに柱状樹枝状晶が発達し、ついには等軸樹枝状晶を生じて凝固が完了する。その際、凝固殻には、冷却にともなう著しい熱ひずみ、冷却収縮、変態、溶鋼静圧によるひずみなどが加わる。高温の凝固殻は強度や靱性が非常に低いので、鋳型内、あるいは鋳型下方の鋳片には、種々の表面割れ、内部割れが生じやすい。そこでスプレー冷却では、冷却凝固を確保しつつ、ひずみによる割れが発生しないよう、水ミストスプレー強度を鋳片引き抜き方向に、鋼種によって調節するパターン制御を行う。ついで鋳片を凝固終了部で圧下し、中心偏析を軽減したのち、ガストーチで定寸に切断し、熱間圧延工程に流す。鋳片の生産性が向上して、欠陥も減少したため、溶削や研削による表面手入れをせずに、熱片のまま加熱炉に装入し圧延するホット・チャージ・ローリングや、加熱も省略して直接圧延するホット・ダイレクト・ローリングが普及してきた。