転炉の炉体は、マグネシア・カーボンレンガなどの耐火物で内張りされ、図に示すような断面を持ち、傾動するようになっている。さらに転炉の周囲には、付帯設備として、スクラップの装入装置、合金やフラックス用のホッパー、純酸素ガス吹き込み用ランス、溶鋼の温度や炭素濃度の計測用サブランス、およびこれらの昇降装置、転炉の傾動装置、排ガスの回収・処理設備などが設置されている。転炉の能力は1回に精錬できる粗鋼の重量で表わされ、日本では、150〜300トンが多い。

転炉の主な機能は、純酸素ガスにより溶銑を脱炭することである。上吹き転炉では、ランスから高速の純酸素ジェットを溶銑に吹き付け、金属浴中にジェットをある深さだけ突き刺して浸入させることによって、溶銑中の炭素と直接反応させ、一酸化炭素として脱炭する。純酸素上吹き転炉では、300トンの溶銑の炭素含有量を4.3%から0.04%まで約10分で脱炭することができる。

溶銑と純酸素ガスとの反応では、まず珪素が酸化され、ついで炭素の酸化すなわち脱炭が起こる。溶銑中の炭素濃度が1%程度まで低下すると、炭素の酸化と並行して鉄の酸化が始まる。鉄の酸化は0.1%以下の低炭素濃度域で著しくなり、スラグ中への鉄の損失と同時に脱炭酸素効率や脱炭速度の低下をもたらす。上吹き転炉では、低炭素濃度域での鉄の酸化と、脱炭の遅れが問題であった。スラグ中に過剰に酸化鉄が増すと、溶鋼中の炭素と急激に反応して突沸が起こり、スラグと溶鋼が混ざったものが炉口から噴出することもある。これをスロッピング、スピッティングと呼ぶ。先端を多孔化した酸素ランスが酸素を均一に供給することにより、溶鋼の過酸化を抑え、スロッピング、スピッティングを防ぎつつ脱炭速度を大きくするのに大きな効果をあげたものの、十分ではなかった。その後、純酸素ガスを転炉の底から溶鋼中に吹き込む底吹き法が開発された。これによって溶銑の撹拌が強化され、鋼浴の均一混合時間が短縮され、溶鋼中の炭素の反応点への供給を促進し、スロッピング、スピッティングの原因であるスラグの過酸化を防止した。その結果、とくに低炭素領域での脱炭効率が改善された。この底吹き転炉は、炉底羽口を同心2重管にし、内管から純酸素ガスと造滓剤である粉石灰を、外管からは羽口焼損防止の冷却ガスとして分解時吸熱反応を示すプロパンガスを流す方法を採用し、羽口の焼損を防ぐことによって実用化された。この結果、低炭素鋼の製造が一層容易になった。

最近では、両者の特徴を生かした、上底吹き転炉が製鋼において主流となっている。上底吹き転炉では底吹き撹拌用ガスとして酸素ガスの代わりに主に不活性ガスを利用している。底吹き羽口には、複数の細管やスリットをパッケージしたセラミックプラグを用いる。転炉の形式にかかわりなく、CO濃度の高い排ガスは、炉口で燃焼させ、炉口上部に設置した排熱ボイラーを通し、顕熱や燃焼熱を回収したり、あるいは燃料ガスとして利用するために排ガス回収装置を通して除塵・冷却・回収し、ガスタンクに蓄えたりしている。