図は、現在、鉄鋼製造の主流となっている(世界の鉄鋼生産量の51%)高炉一貫鉄鋼プロセスのフローである。溶鉱炉(高炉)−転炉の工程を経て、目標の成分と温度に制御した溶鋼を連続鋳造設備により、スラブ、ブルームあるいはビレットに鋳造する。これらの鋳片を対応する圧延機により、目標とする形状に圧延して製品とする。

高炉−転炉プロセスにおける鉄鋼の製・精錬工程は、高炉での鉄鉱石(Fe2O3)の還元による溶銑製造工程と、転炉での脱炭による溶鋼製造工程で構成される。高炉では、還元剤はコークス中の炭素(C)およびそれが酸化されて発生した一酸化炭素ガス(CO)であるため、還元と同時に浸炭が起こり、約4%の炭素を含む溶融銑鉄(溶銑)が得られる。溶銑を転炉で必要炭素量まで脱炭する。この工程の主反応は純酸素ガス(O2)および酸化鉄(Fe2O3)による溶銑中の炭素の酸化である。この脱炭反応に寄与した残りの酸素は溶鋼中に残存する。この酸素は、最後に珪素、アルミニウムなどの脱酸剤によってSiO2 、 Al2O3などの酸化物として固定、除去されるか、または、つぎの工程で真空脱ガス処理によって一酸化炭素ガスとして除去される。

このような高炉−転炉によるプロセスのほかに、鉄源として主にスクラップと、必要に応じ直接還元鉄を共に利用するもう一つのプロセスがある。直接還元鉄は天然ガスを改質した水素、一酸化炭素、メタンを主成分とするガスを用いて、鉄鉱石を還元して製造する。

転炉や電気炉で製造した溶鋼は脱酸し、所定値まで合金元素を加え、目標温度に保って連続鋳造し、所定の長さに切断する。これを加熱炉で圧延温度に加熱したのち、製品に熱間加工する。形鋼や棒鋼、線材は、孔型ロールを有する条鋼や線材圧延機によって、厚板は可逆式の厚板圧延機によって、熱延薄板はホットストリップミルによって加工する。熱延薄板は、酸洗後さらに可逆式圧延機またはタンデム圧延機により冷延薄板に加工する。さらに、冷延薄板は必要に応じ、錫、亜鉛めっきなどの表面処理を行い、いろいろの表面処理鋼板とする。鋼管は、薄板や厚板を成形、溶接する方法や、ビレットを熱間で穿孔したのち継目のないまま最終寸法まで圧延する方法によってつくる。